理容師・美容師資格徹底研究

(メールマガジン週刊「スタイリスト情報」執筆原稿)



その1:理容師・美容師資格取得のステップ

 理容師・美容師の資格は、厚生労働大臣が認定する養成施設(専門学校)を所定の期間(昼間2年・通信3年)修学し
て、卒業見込みまたは卒業することによって、国家試験の受験資格を得ます。
 国家試験は、年2回実施され、学科試験・技能試験両方の試験に合格し、免許申請を行なうことで、資格を取得で
きます。理容師資格・美容師資格を取得して、サロン勤務3年以上を経過することで、厚生労働大臣の定める基準に
従い、都定府県知事が指定した講習会の課程を修了することで管理理容師・管理美容師の資格を取得できます。


その2:理容師美容師養成施設選びと修学

 昼間修学2年制は、4月に入学して翌々年3月に卒業。卒業見込み前の1月末に国家試験技能検定、3月初旬に筆
記検定を受験。入学に際して簡単な入学試験がありますが、大半が入学できます。原則として、高校卒業以上の学力
を条件としていますが、中卒者・高校中退者が入学する場合は、高校卒程度の学科授業を設置する養成施設で入学が
可能。必修科目1400時間・選択科目600時間、合計2000時間を2年間で学びます。
 通信教育の3年制は、秋の10月に全国いずれかの養成施設に入学します。授業のあり方は、教材を送付又は指定し
て学習する「通信授業」と入学手続きを行なった養成施設へ通学し、講義・演習・実験又は実技による授業の「面接
授業」の併用によって行います。
 「面接授業」は、スクーリングと呼ばれ、3年間で590時間の面接授業を養成施設に直接通学し、年間にして24日
程度のスクーリングを行います。但し、理容室か美容室に勤務する者は 295時間の面接授業で、年間にして12日間程
の通学。
 美容実習は、450時間(サロン在籍者は175時間)の修学を行ないますが、主たる教育は、この美容実習に当てられま
す。
 「通信授業」による添削指導は、日本理容美容教育センターが担当します。指導経過は、在籍する養成施設と綿密
な連絡を取りますが、通信教育による「学びのシステム」が次に記載する合格率に現われているようです。
 養成施設の選択は、理容養成施設(140校程)美容養成施設(280校程)、全国各地にある養成施設どこでも入学できま
す。
 昼間修学2年制の通学は、勤務先または自宅から近いところを選ぶのが普通の選択です。通信教育の場合は、スク
ーリングに通学する期間を考えて、合格率の高い養成施設を選ぶことです。
 国家試験取得を目的に入学するなら、合格率が常時80%以上であるところを事前によく調べることです。そして、
格差が生まれつつありますが、学費が安く、技能や知識指導の優れた養成施設を選ぶことです。
 養成施設卒業=国家試験合格ではありません。養成施設選びは、国家試験合格率の高いところを選ぶべきと申しま
した。その合格率は、新卒生だけでなく、既卒生の合格率も充分チェックすべきです。1度の国家試験だけでは合格
しないことも考えて下さい。これは、現在在籍中の専門学校生徒の場合、自らの合格・不合格だけでなく、養成施設
の「名誉」も背負っていることを。これを競い合うことによって、優秀な美容師・理容師が誕生するのですから。
 本誌では、新制度になってから全国の理美容養成施設の合格率評価を行なっています。ここに掲載する合格率評価
は、新卒生だけでなく、既卒生(一度不合格になった再チャレンジ生)の合格率を合算した評価を掲載しています。
 つまり、養成施設で2〜3年学んでも、国家試験合格(資格取得)が保証されていない点を注意して養成施設選びを
する情報を掲載しているのです。養成施設選びは、次の本誌サイトから。
 http://www.stylist.co.jp/btschool_C.html


その3:修学期間(時間)と合格率

 昼間生の場合、必修課目1400時間・選択科目600時間の合計2000時間の教育を2年間修学します。1年間の修学と、
1年間の美容室でインターンとして修業するインターン制度が廃止されました。養成施設で2年間修学することは、
国家試験受験資格を取得するためです。
 美容の場合の必修科目は、関係法規・制度30時間、衛生管理90時間、美容保健120時間、美容の物理・化学90時間、
美容文化論90時間、美容技術理論120時間、美容運営管理60時間、美容実習800時間、計1400時間が2年間で修学しま
す。この修学時間は、国家試験受験者として、充分であると思われます。
 通信教育における必須科目は、関係法規・制度10(10)時間、衛生管理30(30)時間、美容保健30(30)時間、美容の物
理・化学30(30)時間、美容文化論15(10)時間、美容技術理論15(5)時間、美容運営管理10(5)時間、美容実450(175)時
間、計590(295)時間が3年間で学びます。※ ( )は、サロン勤務しながら通信教育を受ける生徒の場合
 国家試験の実技検定は、昼間生の場合、美容技術理論120時間と美容実習800時間が関係します。 通信生の場合なら、
同じ科目は、美容技術理論15時間と美容実習450時間をスクーリングによって実習します。
 ただ、サロン勤務者の場合、現場サロンの指導を受けることを前提として、美容技術理論5時間と美容実習175時間
のスクーリング
が割り当てられます。
 サロン勤務では、美容補助従業員として勤務します。この場合、美容技術は、出来ません。実状は、サロン勤務を
終えてからの技術実習になりますが、国家試験技能受験対策として指導を受ける時間は通信生の環境によります。
 国家試験の筆記検定は、昼間生の場合、各科目の教科書にある教育を受けます。通信生の場合、スクーリングにお
いて教科書に沿った教育を受けますが、主たる教育が美容実習の時間に取られるため、日本理容美容教育センターが
行なう添削指導中心になります。
 修学期間と合格率の関係は、過去13回行なわれた結果が下記の通り出ています。今般の国家試験でも理美容養成施
設が掲載するホームページでは、新卒生合格100%を誇りとする掲載が各所に見られましたが、本誌評価は、異なりま
す。修学期間と合格率を考え直す時期に来ているのではないでしょうか。
 国家試験に合格して、美容師資格・理容師資格を取得しても、現場サロンに就職して、技術者と呼ばれるかどうか
は、勤務するサロンやお客様が「認定」します。美容室・理容室は、職人社会であって、技術する人の技能・技量・
感性・接客術で資格が認められます。
 かって「カリスマ美容師」を憧れる若い世代が理容師・美容師を目指しました。少子化現象によって、若い世代が
選ぶ職業にも変化が現われています。せめて、養成施設卒業=美容師免許取得であるべきなのです。それが100%主
張できる養成施設が望まれます。新しい指導体制の基で。


その4:理美容養成施設の格差

 理美容養成施設は、3つの種類に分類出来ます。管理管轄する省庁は、厚生労働省で厚生労働大臣認可の養成施設
であることが統一された条件ですが、旧厚生省・旧労働省・旧文部省の3つに区分して考えると、統一された修学期
間・修学内容であっても、所要学費と国家試験合格率にその格差が目立ち始めました。
 旧労働省が担当した職業訓練校は、厚生労働省に統括され、厚生労働大臣認可の養成施設に位置づけられましたが、
施設設備・教員等は、変わらないまま運営されているため、修学する生徒が負担する学費においても、3分の1から
4分の1で済みます。施設設備等は、厚生労働省(旧労働省部署)が助成する助成金によって賄われています。
 教員等の職員身分は、準公務員であることに変わりありません。よって、学費に格差がある訳です。本年、滋賀県
理容教育協会が運営する「滋賀県理美容学園」は、2005年度分の助成補助金を申請する際、理容室で働いていない生
徒を働いていると装い、補助金の水増し請求を行ないました。
 補助金は、働きながら学ぶ生徒が3分の2以上いれば、国と県から毎年支給されます。今回の場合、11人いる生徒
のうち、働いていたのは、3人だけで、本来の補助金対象にならないのに10人が働いているとして、補助金申請を行な
っていました。滋賀県理容教育協会が受給した2005年度の受給額は、180万円ですが、2000年から2004年度に受給した
額は、1200万円で、その3分の2に不正がありました。
 旧厚生省・旧文部省管轄であった養成施設でも同様の補助金申請が認められることが都道府県単位で異なるようで
す。新制度になって、1年修学から2年修学になりました。掛る学費等も2倍以上になりました。国や県は、助成金
・補助金の支給条件を減らし、それぞれの養成施設に独自のプログラムを課し、独自性を認めましたが、養成施設経
営を考えなければならないところは、国家試験合格率にも「格差」をつけるような結果となっています。
 ただ、皮肉なことに旧労働省管轄であった職業訓練校は、少数指導体制であるため、国家試験合格率は、本誌Sマ
ーク評価(90%以上の合格率)が点灯するところが多い結果
になっています。

その5:国家試験のしくみ (1)

 毎年春と秋の年2回行なわれるのは、養成施設を卒業する昼間生・通信生の卒業に合わせて行なわれます。国家
試験は、(財)理容師美容師試験研修センターが行なっています。(財)理容師美容師試験研修センターは、本部を東
京に置き、全国都道府県に支部を配置させています。平成16年度の決算では、81,552,000円の法人所得を挙げる優
良企業です。
 教育を携わる(社)日本理容美容教育センターは、平成15年度に国税庁調査を受けました。その結果、平成16年度
の申告
所得は、79,721,000円を同年に挙げています。両社それぞれに厚生労働省から独立した外郭団体です。
 (社)日本理容美容教育センターの場合は、理美容業界関係者が主要役職に就いていますが、(財)理容師美容師試
験研修センターの場合、旧厚生省・旧労働省・旧文部省関係の天下りが占めています。財団・社団法人は、一般に
社会貢献を行なうことを旨としていますが、この程度の利益額は、良しとするのでしょうか。
 ちなみに、理事長年俸は、1500万円です。退職した場合の退職金額は、月額給与の14%がプールされて退職時に
支払われます。退職時月額給与×0.14×在職月数。理事長の場合、1年間で退職金のプールは 210万円。厚生労働
省関連外郭団体の中では、最も低い額とも言われます。
 少し横道にそれましたが、国家試験が行なわれる場所は、筆記試験においては全国15の会場で行なわれます。こ
れは、受験者数にも関係することで、大学や公共施設が使われています。実技試験は、設備等の関係で全国の養成
施設
を借用して実施します。
 この場合、 100名以上の受験者数を基準として養成施設持ち回りで会場を決めます。試験科目は、技能検定と筆
記検定。その試験を審査する審査委員は、2年任期で業界関係者を各都道府県単位で選出します。業界団体からの
「推薦」で理美容併せて全国約1000名の技能試験委員を配備。国家試験を受験する受験生にとって、日頃学んでい
る専門学校や先生が技能試験委員であることが、どの程度「合格」に影響するのでしょうか。
 試験問題の決定は、年度初めに技能・筆記試験部会で決められ、美容実技試験第一課題では、ローラーカールセ
ッティング・ワインディング・オールウェーブセッティングの中から1点と第二課題をカッティングとしています。
 ただ、社会ニーズに見合う課題であるかどうかの問題点もあって、これら課題の見直しは、3年後(2008年第17回
以降)
に新課題による実技試験実施を検討することになっています。
 国家試験資格に関係する試験問題内容の決定は、ある意味で「業権」に関係することです。制度変更には大きな
壁があります。たとえば、技能検定において、カラーリングやマニキュア・エステ・着付に関係した実技試験は、
現在行なわれていません。国家試験資格者に求める「知識・技術力」と「試験制度そのもの」に不一致が存在する
のです。

 美容師国家試験は年間4万人ほどの安定した受験者数ですが、理容師受験者数は、4千人を割る数になっていま
す。若い世代が理容師・美容師に憧れる傾向がスローダウンしています。それに輪を掛けての少子化傾向は、将来
のあり方を教えています。裏面には、理美容統合の問題も孕んでいます。国家試験母体が1つであることが救いと
も言えますが、受験者数減少は、関連体制の見直しを考えなければなりません。
 またまた横道に逸れましたが、筆記試験問題は、50問題中30問題以上の正解で合格としています。関係法規・衛
生管理・保健・物理化学・美容理論(理容は理容理論)の5つの課題は、それぞれ専門分野の出題者によって作ら
れます。
 第10回筆記試験において、台風に遭遇したため、沖縄県試験会場が2週間後に順延されました。この時の試験問
題を見ると急遽、間に合わせによって作られた試験問題で、(財)理容師美容師試験研修センターに危機管理意識に
欠けている
ことがよく解りました。
 本誌がまとめた「出題テーマ別解答付過去問題検索」では、沖縄県会場で出題された問題が、重複過去問題であ
ることが解り、イラストまたは写真掲載のない試験問題を間に合わせました。以降の試験においては、理美容共々
予備の問題を制作することになりましたが、国家試験資格を重んじる意味で、体制側の取り組みにも本誌として、
ご意見申し上げました。
 本誌が制作する「模擬検定」「想定問題集」「虎の巻」等の企画は、業界外からもこの業界を注視させる格好の
題材と言えます。IT改革が進化する中で、この業界のIT改革は、教育センターが制作するデジタル情報によっ
て一歩前進しはじめた。
 次に紹介するページは、3年後の新課題の参考となる教育センターデジタル教材サンプルの映像ページです。た
だこれを試験問題にどう活かすかは、まだ決定していません。 デジタル教材サンプル映像

その5:国家試験のしくみ (2)

 理容師美容師国家試験の受験資格は、厚生労働大臣が指定した理美容養成施設で、昼間教育なら2年間、通信教
育なら3年間修学し、「卒業または卒業見込」であることが条件になります。
 国家試験の試験科目は、技能検定と筆記検定。当然のことですが、2年から3年養成施設で学んだことが試験さ
れ、合格することによって、厚生労働大臣署名の「免許書」を申請することが出来ます。
 養成施設で学ぶ要件は、平成10年2月3日に旧厚生省生活衛生局長が通知した「美容師養成施設の教科課程の基準」
「理容師養成施設の教科課程の基準」
にそれぞれを明記しています。
 学ぶ内容は、必須科目と選択科目合わせて、昼間教育2年間で2000時間を学びます。その内訳は、次の通りです。

 <昼間教育・必須科目>
 関係法規・制度 30時間・衛生管理    90時間・美容保健  120時間・美容の物理・化学 90時間
 美容文化論   90時間・美容技術理論 120時間・美容運営管理 60時間・美容実習    800時間
                                          合計 1400時間
 <昼間教育・選択必修課目>
 ◎一般教養課目 日本語・外国語・保健体育・情報技術・社会福祉・芸術・日本文化
 ◎専門教育課目 エステティック技術・美容カウンセリング・食品保健・栄養理論・メイクアップ・美容モード理
         論・美容総合技術                          選択合計600時間

 技能検定を考える上で技術実習は、重要な問題です。美容の場合の必須科目において、美容実習は、800時間と
なっています。その内訳について、「美容師養成施設の教科課程の基準」では、次の通り明記しています。

 <美容実習>
 1.器具の取扱実習  2.基礎技術実習
 3.頭部技術実習
   スキャルプトリートメント、ヘアトリートメント、ヘアシャンプー、ヘアリンス技術、ヘアカッティング、
   パーマネントウェービング、ヘアセッティング、マーセルウェービングなどの基本的な頭部技術。
 4.特殊技術実習
   ヘアカラーリング、美顔術、化粧、マニキュア、ペティキュアなどの美容の特殊技術。
 5.和装技術実習
   日本髪の結髪技術、かつらのあわせ方、かぶせ方、着付け技術。
 6.総合実習
   頭部、顔面、特殊技術を適当に組み合わせて調和のとれた美容技術を完成させるため、総合的な技術。

 ここに明記される技術名が美容界の「業権」とも解釈されますが、エステティック技術・メイクアップ・ヘアカ
ラーリング・美顔術・化粧・マニキュア・ペティキュア等に「独占営業権」を認定したものではありません。これ
が理由で美容師国家試験技能検定には、これら技術を出題することはないのです。(3年後の試験課題検討までは。)
 また、「美容師養成施設の教科課程の基準」には、美容実習について、次のことも明記されています。つまり、
美容実習は、養成施設で行なうことを原則とするが、美容所での実務実習が望ましいとして、800時間の美容実
習について美容所の指導責任を明示しています。以下要点のみを書き上げました。

 ◎実習は養成施設内で実施することを原則とするが、生徒の技術習熟状況に応じて適宜、美容所での実務実習を
  行うことが望ましい。
 ◎実務実習は、1日あたり2時間、年間60時間(通信課程の生徒のうち美容所の従業者である生徒に対しては、
  20時間)を超えない範囲で行うものとする。
 ◎美容所の営業状況を勘案して、実務実習の時間が2時間を超える時間を設けることが、その学習に効果的、か
  つ、有益であると認められる場合は、1日あたり4時間を限度として行うことができるものとする。
 ◎実務実習を行う場合、養成施設は、次の要件に適合する美容所に生徒の受け入れを依頼しなければならない。
  (1) 管理美容師の資格を有し、かつ、適切な指導監督のできる美容師がいること。
  (2) 当該美容所で受け入れる生徒数に応じた設備を有すること。
  (3) 当該美容所の経営方法が適切かつ確実なものであること。
 ◎実務実習の指導は、養成施設が作成した実施計画に基づいて、当該美容所の美容師が行う。
 ◎実務実習を受ける生徒は、美容師の資格を取得しておらず、独立して業務を行うことができないのであるから、
  指導にあたる美容師の十分な監督のもとで実習を行わせなければならない。
 ◎指導にあたった美容師は、生徒ごとに作成した実務記録を養成施設に提出し、これに基づいて養成施設が実務
  実習の評価を行う。

 これは、インターン制度を廃止した際に「美容室の役割」を残したものと解釈出来ますが、国家試験に合格して、
美容師免許を取得しても、勤務する美容室が「技術者認定」するかどうか、美容室を利用する消費者が「技術者認
定」
するかどうかに関係します。つまり、国家試験資格認定者を指導教育する内容は、美容技術の専門家であると
ともに、地域の保健衛生の担い手でもある美容師の養成にあります。美容室の師弟関係にあった時代は、美容室が
主にその指導を行なって来た歴史があります。
 今までなら、養成施設と美容室との繋がりは、後継者養成・労働力確保等の共通した目的がありました。しかし、
現代において、職業選択の自由を前提に「指導者選び」「勤務先選び」は、若い世代が選びます。
 美容実習の一部が「美容室の役割」であっても、美容室に勤務せず、養成施設でのみ美容実習する若い世代が多
くなりました。受験者の負担軽減を求めることで教科の一部を美容室に求めるのではなく、現場教育がどれだけ実
践力をつけるかは、誰もが解っています。
 前述した教科基準が「業権問題」にも絡んでいることは、無資格者が技術する等の問題解決になりません。今般、
北海道において、国家試験関連の構造改革特区の申請が行なわれました。しかし、業界団体の圧力で却下されたと
の情報を得ました。この構造改革特区が却下されたのは、政権政党への「献金効果」がそうさせたのでしょうか?
 国家試験出題では、技能検定・筆記検定技能理論のみ出題が異なり、他は同一問題が出題されます。本誌が指導
する模擬検定シミュレーション筆記検定虎の巻筆記検定想定問題集においても、美容を理容に変えるだけで作
業が済みます。

 その6:国家試験のしくみ (3)

 「美容師養成施設の教科課程の基準」を見てみると、共通部分の修学は、必要ないと明示されています。第1章
(総則)・第1節(教科課程の編成)第2款の5.では、

 理容師養成施設を卒業した者が美容師養成施設において履修する場合にあっては、関係法規・制度、衛生管理、
 美
容保健及び美容の物理・化学の各教科課目のうち、その者が履修した理容師養成施設の教科課程を通じて同一
 の内
容である教科課目の履修を免除することができる。

 とあります。これは、「理容師養成施設の教科課程の基準」でも同様で、美容師免許を持つ者が理容師免許を取
得するために理容師養成施設で学ぶ場合、必須科目である関係法規・制度、衛生管理、理容保健及び理容の物理・
化学の各教科課目
は、既に学習済みであるため、学ぶことを免除するとあります。(現実の履修短縮は、330時間に
過ぎませんが)第3款(選択必修課目)に明記することですが、大学・短期大学・高等専門学校の課程における学修
及び専攻科で学んだ共通部分の修学は、これも免除するとあります。ただし、原文は次のとおりですが。

 各養成施設においては、他の養成施設の選択必修課目若しくは専修学校における授業課目の履修、大学、短期大
 学
若しくは、高等専門学校の課程における学修、大学、短期大学若しくは高等専門学校の専攻科における学修の
 うち
養成施設が適当と認めるものについて、当該養成施設の卒業に必要な選択必修課目の総授業時間数又は総単
 位数の
4分の1を超えない範囲で、当該養成施設における選択必修課目の履修とみなすことができる。

 こちらは 600時間の履修短縮が考えられますが、実際は養成施設の判断に任されているようで、外部にこれをア
ピールするところはありません。
 国家試験を受験するためには、養成施設の卒業が第一の条件です。昼間課程で2年・通信課程なら3年の修学期
間があり、修学のための費用は、200〜300万円を要します。卒業見込みまたは卒業しても100%美容師資格・理容師
資格が保証されるわけではありません。
 美容師に憧れる若い世代は、就学期間・高学費、そして、免許取得後のサロン就職した場合の将来保証を考え、
他の選択を取り始めました。
 国家試験そのものは、簡単な試験制度・試験問題です。入学試験や入社試験とは異なり、受験者のうち上位何人
を合格
にするとか、何%の人に合格を与えるものではありません。出題される試験の正解数60%以上を理解してい
る人全てに合格を付与するものです。
 不合格者を出すことは、養成施設の指導力を問われることになり、結果として養成施設に人が集まらなくなりま
す。学ぶ知識の60%程度を国家試験で解けないような指導を2〜3年・200〜300万円掛ける余裕は、今の若い世代
も父兄にも許容できなくなるからです。
 美容室の側でも美容師資格誕生を待つだけのスタンスですから、自らのサロンシステムに見合う人材のみ一時雇
用するようになります。美容室の増加が過当競争を招き、受入れ側も新たな選択権を持つようになりました。
 社会ニーズと共に、美の産業である美容業・理容業は、経営の変革を求められます。つまり、「経営の老化」は、
顧客である消費者を遠ざけます。生活衛生・環境衛生の分野であるところは、美や若さを売り物にするため、それ
を産み出すところに「老化」を感じた時、他に存在するところに移動することになります。
 主たる繁盛店と言われる理美容室経営にも「団塊の世代」が存在します。商売の中で老舗(しにせ)と呼ばれる伝
統あるショップを理美容界に当てはめると、若き後継者をどれだけ揃えているかで、それが当てはまります。
 少子化問題は、後継者が無いことにも波及し始めました。理容室の例がこれに当たり、団塊の世代・それ以前の
経営者は、開店休業同様の事態になり、理容室の機能を返上しました。
 ひとつの例は、技術メニューに漢字が消え始めました。調髪・二枚刈・丸刈・顔剃・染毛、このような名称が料
金表に掲げられていました。技術用語は、カタカナ表示されるようになったのも時代の流れです。顧客である消費
者がサロンを選ぶ時代です。
 国家試験問題も漢字表記時代の人がどれだけ試験問題に若さを出すかが課題です。つまり、指導体制の中にも、
感性の指導が必要です。ITの進歩と共に伝達手段にも変化が見られます。情報は、デジタル化される時代を迎え
ました。新しい方式を取り入れることによって消費者にも共感を与える。理美容室経営においても、国家試験制度
においても、その取り入れを本誌は、求めています。

 多方面の情報を取り混ぜた内容です。この続きは、またの機会に。(*^_^*)


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